彼らの挑戦は、誰が見ても無謀だった。本人たちですら、不可能だと思っていた。
ただ1人、この夢を企てた男、ハイジ以外は──。天に与えられた“走る”才能をもった2人の若者が出会った。
致命的な故障でエリート・ランナーへの道を諦めたハイジと、事件を起こし競技から遠ざかった天才走者カケルだ。
ハイジはカケルこそが、秘かに温めていた計画の切り札だと確信、壮大な夢への第一歩を踏み出す。
それは、寛政大学陸上競技部の8人と、学生長距離界最大の華<箱根駅伝>出場を目指すこと。ところがこの競技部とは名ばかりで、8人は陸上から縁遠い上に、漫画オタクや25歳の留年生、アフリカから来た留学生など、ユニークなキャラクターがそろっていた。だが、なぜかハイジは、自信に充ち溢れている。彼の編み出す緻密なトレーニング法と走ることへの信念、仲間への揺るぎない信頼が、皆を変えていく。やがて明かされる、ハイジの故障の理由とカケルが起こした事件の真相、そして8人それぞれが抱えてきた本当の想い。果たして、心を一つにした10人は、箱根の頂点に立つことができるのか──?
走るという行為だけで、観る者の胸をこれほどまでに熱く燃やすのは、欠点だらけのフツーの若者たち。昨日までは目的もなく生きていたが、仲間と固い絆を結ぶ喜びと、夢を追いかける充実感を知り、自らの限界に挑んでいく。そんな彼らがつかんだのは、生きる手ごたえ。映画『風が強く吹いている』は、この不安な時代に呑み込まれることなく、生きる実感を得るために、「新しい何かを始める」勇気と希望を与えてくれる感動作なのだ。













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