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サイブリッジ 社長インタビュー

経営の本質を見極め、創意工夫を繰り返す

~4期連続で200%以上の増収を続けるITベンチャー~

水口翼 社内通貨制度、24時間の社内中継ライブカメラ、水曜日19時強制帰宅ルール、60万円もの出産祝い金制度・・・。
数々のユニークな社内制度で注目を集めているITベンチャーのサイブリッジ。
社長の水口は学生結婚を契機に大学2年生で起業し、4期連続で200%以上の増収を続けている。
一時の勢いを失ったIT業界の中で、同社の存在はひときわ目を見張る。
着実な成長を続けている理由は何なのか。社長の水口に話を聞いた。

特定の事業に依存しない事業展開

―まず御社の事業内容を教えてください。

IT分野において、大きく分けて4つの領域で事業展開をしています。具体的には、Webインテグレーション事業(システム開発、Webサイト制作)、インターネット広告事業、インターネットメディア事業、人材メディア事業の4つです。Webインテグレーション事業では、大手企業を中心に数百万円~数千万円のシステム開発を手がけています。またメディア事業(自社媒体)では、数万円の求人広告から年間契約も含め数千万円クラスの広告出稿まで、幅広いクライアント企業とおつきあいをさせて頂いています。おかげさまで会社設立から4期連続で200%以上の増収を続け、クライアント企業も既に200社を超えました。

―御社が順調な成長を続けている理由を教えてください。

サイブリッジ社内急成長を求めるのではなく、「会社が潰れない仕組み作り」に注力し続けたことが、結果として順調な成長に結びついてきたのだと思っています。もともと私は青山学院大学に在学中の21歳の時に、家族を養うために起業しています。ありふれた起業とは違う環境の中で、コスト意識やリスク管理を徹底してきました。
ビジネスモデルは前述の潰れない仕組みを念頭に、「利益率の高い事業」と「継続的な安定収入が得られる事業」を軸として、受注額の高い案件より、安くても毎月収益を得られる契約を優先してきました。
そしてテレアポなどのアウトバウンドセールスはほとんど行わず、確度の高い見込み顧客からの問い合わせを中心にインバウンドセールスの仕組み作りを行っています。
また、社内業務の効率化にも徹底して取り組んでいます。自動化できる単純業務は自動化し、社員が付加価値の高い仕事だけに専念できる環境を整えています。
通常のビジネスの考え方では、特定の事業に集中するのがセオリーですが、維持コストが収益構造と比例しないネット業界においては、新規事業を低コストで立ち上げ、特定事業に依存しない収益基盤を築いた方が不況にも強い会社を作ることが可能だと考えています。

ユニークな社内制度で他社と差別化を図る

―「会社が潰れない仕組み作り」に徹底した結果、順調な成長につながったと。

そうですね。また社内制度による他社との差別化も理由のひとつかもしれません。ネット業界では、ビジネスモデルは誰でも簡単にマネが可能なので、事業そのもので差別化することが難しくなっています。しかし、社内制度は会社の考え方やメッセージを具体化したものなので、差別化が可能です。
たとえば私自身が二児の父親ということもあり、第一子の出産で約60万円を支給する「出産祝い金制度」や、本人と家族の誕生日に17時に強制帰宅させる「ハッピーバースディ制度」などを設けています。小さな子供にとって誕生日はとても大切な日です。しかし、子供の誕生日という理由で早く帰宅することは、社長の私ですら気まずい(笑)。社員であれば尚のことです。だったら堂々と社員が帰宅できる制度を作ろうという発想ですね。他にも水曜日の19時強制帰宅ルールや、社内の少額決済に利用する社内通貨「cbri(シブリ)」を開発するなど、社員が働きやすい環境作りに注力しています。

―福利厚生や社内制度に力を入れる理由はなんですか?

社員の平均年齢も24歳と若く、一般のベンチャーであれば福利厚生を後回しにする所です。福利厚生に力を入れる理由は、いずれは大企業になるという意思表示でもあります。
また社内制度は社員のための仕組みですが、工夫次第で自社の考えを外部に発信できる広報・宣伝ツールにもなります。実際、新聞や雑誌、テレビに制度が紹介されたことで、発注に至った事例もいくつもあります。実績がないベンチャーにとって知名度は非常に重要です。社名を知ってもらうために、ご来社頂いた方が会社に戻ってから当社の話題を話したくなるようなオフィスの工夫も積極的に行っています。

―なるほど。御社は社内の様子をライブカメラでWeb上に公開していますが、社内からの反発は無かったんですか?

ライブカメラ社内ライブカメラは私を含め社員3名の頃から導入しています。ほとんどの社員が「ライブカメラのあるサイブリッジ」を知った上で入社しているので、反発は特にありませんでした。
もともとライブカメラは、私自身が子供に働いている姿を見せたかったことから始まっています。普通、父親がどこの会社で働いているかは知っていても、どんな風に働いているのかはわかりません。親が一生懸命働いて稼いできたお金にリアリティがないんですよね。ライブカメラの映像を見れば、私も含め当社の社員がどんな風に働いているのか見ることができます。また取引先や当社に就職希望の方、社員のご両親やご家族など、実際に社員の働いている姿を見てもらうことは、会社の透明性を高めると共に信用力の向上にもつながっていると思います。

積極的な採用活動とオフィス移転

―御社はリクナビやマイナビを始め、9つもの新卒採用媒体に出稿しています。不景気が叫ばれる中、なぜ積極的に新卒採用をしているのですか。

新卒採用媒体 会社が継続的に成長していくためには、若手社員の成長が必要です。積極的に新卒社員を採用し、企業として彼らが成長、戦力化できる仕組みづくりを行っていくことが、当社が今後も成長していくためには必要だと考えています。ちなみに初めて行った2009年度採用の新卒エントリーは約8000名、内定者は14名です。彼らが一人前のビジネスパーソンになった時、当社はもう一回り大きくなれると考えています。
また、多くの採用媒体に同時に出稿することで、新卒採用という本来の目的以外の効果も得ることができます。掲載費は決して安くありませんので、多くの出稿と採用予定人数は当社の財務基盤の安定を対外的に示すことができ、同規模のベンチャーに対して当社の成長性をPRすることも可能です。
他にも媒体別の費用対効果の検証によって、当社が採用コンサルティングを行う上で重要な事例データにもなります。求人メディアを運営する当社にとっては他企業の人事部での知名度向上も必要です。9媒体の同時掲載の結果、各新卒媒体の営業担当の方が様々な営業先で「サイブリッジという会社がこんな取り組みをしています」と当社の代わりに宣伝をしてくれる効果もありました。
採用という目的だけにとらわれず、副次的効果も考慮した上で最大限の費用対効果が実現できる投資を行うのが当社の考え方です。

―2009年の5月には、3度目のオフィス移転をすると聞きました。

Ao移転

場所は現在と同じ渋谷ですが、家賃は現在の約2倍の新築オフィスに移転します。オフィスの家賃は人件費に次いで高い固定費ですが、オフィス費用もただの固定費として捉えるのではなく、対外的な営業ツールとして考えています。いまやビル名、フロア名で検索をすれば簡単に賃料が調べられ、グーグルのストリートビューで外観も簡単に見られる時代です。ですから入居するオフィスビルのグレードと立地が企業の経営体力の判断対象になると思っています。
また社内業務が多い当社の社員にとって、働く環境を良くすることはモチベーション、ひいては生産性の向上にもなります。そして、目に見えて成長と変化を実感できるオフィス移転というのは、広報、営業、採用においても良い影響を及ぼします。

小学5年生の時の読書量は年間3万ページ

―ユニークな社内制度、積極的な新卒採用、攻めのオフィス移転など全てが他社との差別化につながっているわけですね。このような水口さんの経営手法はどこから生み出されたんですか?

社内制度:シブリどこからでしょう(笑)。家族や親戚に経営者はいませんし、特定の経営者から影響を受けたわけでもありません。もともと私はリーダータイプではなく、経営者という地位にも執着はありません。
物事を合理的に判断し、無駄を省こうという考え方は子供の頃から持っていました。テストは合格点ギリギリのラインを最低限の努力で目指す子供でしたね。また子供の頃の膨大な読書体験も今の糧になっています。小学5年生の時、担任の先生が「1年間に3万ページ読書すれば、回転寿司食べ放題」というルールを作っていて、もともと読書や日本史が好きだった私は司馬遼太郎などの歴史小説を中心に、1日1冊ペースで大量に本を読み漁りました。3万ページ読むために1日に何ページ読まなければいけないのか。どう工夫すればもっと速く読めるのか、そんなことも考えながら結果的に1年間で3万ページ分の本を読破しました。結局、回転寿司は無かったんですがね(笑)。
いま思えば、こういった訓練の積み重ねが、中長期的な目標を日々の行動にブレイクダウンさせ、業務改善し効率化させていく経営手法につながっているのかもしれません。少ない労力でより大きな成果を生み出したいという考え方がベースですけどね(笑)。

―小学5年生で1日1冊の読書を1年間続けるとはスゴイですね。では、水口さんの起業のきっかけを教えてもらえますか。

大学1年生、19歳の時に同級生と学生結婚し、子供が生まれたのがきっかけです。家族3名の生活費と夫婦2人の学費を稼がなければならず、年間400万円以上のお金が最低でも必要でした。
そんな金額はアルバイトで稼ぐことができないので、起業するという道を選びました。サイト制作の仕事ならば、大学に通いながら子供の面倒もみることができる。つまり、起業はベストな選択肢だったわけです。パソコン1台とインターネット回線があれば、維持費用は電気代くらいです。当時は中小企業のWebサイトを1サイトあたり20万円前後の金額で受注し、家族3名の生活費を稼いでいました。

絶対に質の低い仕事はしない

―起業という選択肢は、就職よりもリスクが高いとは考えなかったんですか?

社内制度:シブリリスクに対する考え方の違いだと思います。就職は逆にリストラや倒産、転勤など、他人の意思決定によって家族が不幸になるリスクを持っています。それに対して、起業は自分の意思と努力でリスクコントロールが可能です。仮に家族が不幸になるとしても、他人ではなく自分の意思決定の結果であれば、納得ができると考えました。
丁寧な仕事を心がけた結果、クチコミで仕事が増えていき、1年目に約500万円、会社を設立した後は年間1500万円を売上げることができました。しかし、サイト制作は労働集約型のビジネスなので、売上を増やすには徹夜をして労働時間を長くするしかありません。そこで会社設立2年目からは、知識集約型で収益性の高いメディア事業をスタートさせました。正社員採用を始めたのもこの時期です。

―既に水口さんは家族を養うだけの収入を得ており、当初の目標は達成したと思います。それでも更なる成長を目指す理由を教えてください。

より充実した人生を送りたいからです。仕事は、人生というプロセスを最大限に楽しむための手段だと考えています。例えばプラモデルって組み立てるプロセスが楽しいわけですよね。仕事も同じで、高い目標に対して工夫しながら目指すことがワクワクする人生になるのだと思います。

企業の利益=社会に提供する付加価値

―最後に、今後のビジョンを教えてください。

当社は“one more Value”というコーポレートメッセージを掲げて、これからも社会に新しい価値を創造していきます。当たり前の話ですが、クライアントや社会に対して提供した付加価値が利益になると考えています。中期的には15年以内で売上1000億円規模を目指しています。ITバブル時に上場したITベンチャーが、既にその規模に成長しているので、決して不可能な数字ではないと思っています。
またIPO(株式上場)も視野に入れています。もちろん規模の拡大のみを追求するのではありません。「利益の最大化が社会に対する価値提供の最大化である」という考えのもと、利益目標を常に意識して、地に足をつけた着実な成長をしていくつもりです。

サイブリッジのユニークな社内制度

出産祝い金制度

第一子の出産時に合計60万円が受け取れる制度。
サイブリッジが加入しているITS(関東ITソフトウェア健康保険組合)より支給される「出産育児一時金 35万円」、「出産育児付加金 10万6,000円」と併せて、会社からの出産手当として「出産祝い金 15万円」が支給される。

ハッピーバースディ制度

本人、配偶者、子供の誕生日には17時に帰宅できるという制度。
婚姻関係にない恋人の誕生日は適用外となる。

水曜日19時強制帰宅ルール

水曜日は残業無しで19時に全員強制帰宅するルール。

24時間 社内中継ライブカメラ

サイブリッジのコーポレートサイトで社内風景を24時間ライブ中継。どんな風に社員が働いているか、何時まで働いているか、実際に目で見て確かめることができる。
http://live.cybridge.jp/

社内再生音楽リアルタイム表示

オフィスで流れている曲のリアルタイム配信と社内再生ランキングを外部に公開。社内の雰囲気を外部に知ってもらうことを目的としている。
http://recruit.cybridge.jp/music/

社内通貨制度 cbri(シブリ)

コンビニでの買い物など、少額のお金を同僚に立て替えてもらった時に便利な社内通貨。1円=1 cbri(シブリ)として流通し、管理は全てブラウザ上で行われる。

その他の社内制度はこちらから

http://style.cybridge.jp/

水口 翼(みずぐち つばさ)
1982年、東京都生まれ。青山学院大学1年次に同級生と結婚し、19歳で一児の父親となる。大学2年次にWebサイト制作を行う個人事業主として独立。2004年に株式会社シンクマークを設立し、代表取締役社長に就任。2005年に社名を株式会社サイブリッジに変更。2009年3月には三人目の子供が産まれる予定。

株式会社サイブリッジ会社概要
◆設立/2004年5月25日
◆資本金/2640万円
◆売上高/4億8,000万円 ※2009年3月期見込
◆従業員数/24名(男性14名、女性10名) ※2008年9月現在
◆事業内容/Webインテグレーション事業、インターネットメディア事業、インターネット広告事業、求人メディア事業
◆URL/http://www.cybridge.jp