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日刊テラフォーニュース

【海外:イラク】中東のベニス―沼に浮かぶバスケット・ハウス

2014年12月14日 14時15分 日刊テラフォー

チグリス・ユーフラテス湿地帯は、知る人ぞ知る場所だ。
23,310㎢の広大な沼地には、5,000年以上も前から、人々が住み続けていた。
ピーク時には5千万人もの人々がここで暮らしており、彼らは「マーシュアラブ人」あるいは「マダーン」と呼ばれた。
(画像:Oddity Central)
マーシュアラブ人は、複数の部族から形成され、美しく、エコロジーな文化を育んできた。
その様子は、彼らの美しく精巧な住居にもよく表れている。
水に浮かぶ彼らの家は、すべて葦でできており、その葦も彼らが栽培し、収穫したものだ。
ヴェネツィアの漁師たちの家「カソニ(Casoni)」を連想させるこの家々は、マーシュアラブ人たちの間では、「マドヒフ(Mudhif)」と呼ばれている。
マーシュアラブ人たちは、地盤がしっかりしていない沼地の上に、木材や釘は一切使わずに、わずか3日で1軒のマドヒフを完成させた。
しかしながら、近年、マドヒフは急速に失われつつあり、やがては永遠になくなってしまう危機に直面している。
この湿地帯は、数世紀に渡って、奴隷や農奴たちが逃れてくる地だった。
1990年代初頭には、サダム・フセイン政権によって迫害された人々の避難場所となっていた。
続く1991年の湾岸戦争の開始に伴い、フセイン率いるイラク政府は、反政府勢力を保護したマーシュアラブ人を罰するため、湿地帯の完全な排水を命じた。
そうはいっても、これだけ広大な湿地帯を完全に排水するのは不可能だと思われた。だが、イラク政府は、チグリス・ユーフラテス湿地帯への水の流れを止め、他の地域に水を流して灌漑プロジェクトを行うことで、それを可能にしてしまった。
マーシュアラブ人たちの生活はすぐに打撃を受けた。
食糧供給源はなくなり、村は焼かれ、彼らの沼に浮かぶ家々は、ただの荒野になった。
何世代にも渡って湿地帯で生きてきた多くの家族は、この地を追われ、伝統的な生活様式を捨てて、イラクの町やイランの難民キャンプへ移り住んだ。
2003年にフセインが米軍に拘束されたことにより、一部ではあるが、チグリス・ユーフラテス湿地帯に再び水が戻って来た。
それでも、湿地帯を元の状態に戻すには、まだまだ長い時間が掛かる。
今でもなお、伝統的な住宅マドヒフで暮らしているマーシュアラブ人は、1500人以下と推定される。
また、イラクとアメリカのエンジニアによって結成された団体「Nature Iraqi」も、湿地帯とマーシュアラブ人たちの伝統を復元しようと取り組んでいる。
穏やかで美しいマーシュアラブ人たちの生活様式が再び見れるようになる日が、またやってくることを切に願いたい。
【記事:りょーこ】
参照元:Oddity Central
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