日刊テラフォーニュース

Googleトレンドに「金子哲雄氏」が浮上-最後の手紙を想起する-

2012年10月09日 12時00分日刊テラフォー

元弥きとの仮想現実探索記

ここ1週間のGoogleトレンドを覗いてみると「肺カルチノイド」「金子哲雄」が急上昇ワードとして浮上していた。10月2日にお亡くなりになった金子哲雄氏。その葬儀で読まれた手紙の見事さを想起した。

<手紙全文>
このたびは、お忙しい中、私、金子哲雄の葬儀にご列席たまわり、ありがとうございました。今回、４１歳で人生における早期リタイア制度を利用させていただいたことに対し、感謝申し上げると同時に、現在、お仕事などにて、お世話になっている関係者のみなさまに、ご迷惑おかけしましたこと、心よりおわび申し上げます。申し訳ございません。
　もちろん、早期リタイアしたからといって、ゆっくりと休むつもりは毛頭ございません！第二の現場では、全国どこでも、すぐに行くことができる「魔法のドア」があるとうかがっております。そこで、札幌、東京、名古屋、大阪、松山、福岡など、お世話になったみなさまがいらっしゃる地域におじゃまし、心あたたまるハッピーな話題、おトクなネタを探して、歩き回り、情報発信を継続したい所存です。
　今回、ご縁がありまして東京タワーの足元、心光院さまが次の拠点となりました。「何か、面白いネタがないかな？」と思われましたら、チャンネルや周波数を東京タワー方面に合わせ、金子の姿を思い出していただけましたら幸いです。
　このたび、葬儀を執り行うにあたりまして葬儀社のセレモニーみやざき　宮崎美津子さまには生前より真摯（しんし）に相談にのって頂きました。また、自分の歩んできた道とゆかりのある港区東麻布を終（つい）の住処とすることをお許しいただきました、浄土宗　心光院　御住職　戸松　義晴先生には公私にわたり、死生観などのアドバイスをちょうだいしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
　最後になりますが、本日、ご列席下さいました、みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております。４１年間、お世話になり、ありがとうございました。
　急ぎ、書面にて御礼まで。
　平成２４年１０月１日
流通ジャーナリスト　金子哲雄
<手紙ここまで>

死を目前に迎えた人間がこんなにも冷静でいられるものなのか。ぼくは自分が同じ境遇になったとき、ここまで見事な終活が出来るかと問われれば、押し黙ることしか出来ない。ぼくも言ってる間に三十路前。友人たちには嫁が居るリア充がちらほら現れはじめ、従妹の子どもも大きくなってきた。
元弥の家系は短命なので、そろそろ終活を考えておくべきなのだろうか。
昨晩、銭湯にてラベンダーの湯に浸かりながらそんなことを考えていた。その銭湯は同性愛者が多いハッテン場との噂もある。同性愛者に子は生まれない。パートナーを見つけ、共に生きていくことを選択したとしても、老後の世話や死後の整理を誰かに任せることは出来るのだろうか。
週刊モーニングで、「きのう何食べた?」という同性愛者カップルのほのぼのとした日常を描いている作品が連載されている。同性愛者であるが故の苦悩や日常のちょっとしたことと、美味しそうな料理のレシピを学ぶことが出来る良い作品だ。
ぼくははっきり言って非モテ系男子だ。結婚出来るかどうかといえば、もしかしたら一生そんな巡り合わせはないのではないかと考えている節がある。だがしかし、老いる。死ぬ。子もなく伴侶も居ないのならば、人生の後半戦を如何にすべきか迷ってしまう。
金子氏は享年41歳と若い。しかし、ここまで立派な終活をやってのけた。肺カルチノイドの闘病生活で心の整理をしていったのだろうか。今夏、うちの祖母が闘病の末、亡くなった。憎まれ口ばかりたたくが快活で憎めない祖母だったが、死の間際は病室にひとが訪れるたびに感謝の言葉をかけていた。
人は死ぬと「成仏する」「神上がりする」と仏教や神道ではそれぞれ言う。死が近付けば、ひとは俗世から離れ、高尚な存在になるものなのか。その答えは、自分に死期が近付いたときにわかるのだろう。楽しみであり、恐ろしくもある。
改めて金子哲雄氏と、勝手ながら我が祖母の冥福をここに祈る。

(元弥きと/【Twitter(motoyaKITO)】)
参考元：日刊スポーツ
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